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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
それほど病気が重くなってるとは知らなかったので、最一度尋ねるつもりでツイそれなりに最後の皮肉を訊かずにしまったのを今なお残惜しく思っている。葬儀は遺言だそうで営まなかったが、緑雨の一番古い友達の野崎左文と一番新らしい親友の馬場孤蝶との肝煎で、駒込の菩提所で告別式を行った。緑雨の竹馬の友たる上田博士も緑雨の第一の知己なる坪内博士も参列し、緑雨の最も莫逆を許した幸田露伴が最も悲痛なる祭文を読んだ。丁度風交りの雨がドシャドシャ降った日で、一代の皮肉家緑雨を弔うには極めて相応しい意地の悪い天気であった。
緑雨の全盛期は『国会新聞』時代で、それから次第に不如意となり、わざわざ世に背き人に逆らうを売物としたので益々世間から遠ざかるようになった。元来緑雨の皮肉には憎気がなくて愛嬌があった。緑雨に冷笑されて緑雨を憎む気には決してなれなかった。が、世間から款待やされて非常な大文豪であるかのように持上げられて自分を高く買うようになってからの緑雨の皮肉は冴を失って、或時は田舎のお大尽のように横柄で鼻持がならなかったり、或時は女に振棄てられた色男のように愚痴ッぽく厭味であったりした。