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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
と得々としていった。沼南が平生綿服を着ているかドウかは知らぬが、その時の沼南はリュウとしたお召か何かでゾロッとしていたのだから挨拶に窮した。
その後、沼南昵近の或る男に会った時、その話をして、「何だってアンナに貧乏ぶるんだろう、」というと、
「アレは沼南の癖だよ、」といった。「ツイこの頃も社(毎日新聞社)で沼南が、何かの話のついでに僕はマダ抱え俥を置いた事がない、イツデモ辻俥で用を足すというンのだ。沼南の金紋護謨輪の抱え俥が社の前にチャンと待ってるんだからイイじゃないか。社の者が沼南の俥を知らないとはマサカに思ってもいまいが、他の者が貧乏咄をすると自分も釣られて負けない気になってウッカリいってしまうんだネ。お目出たい咄サ。こんな処はマア低能だネ。」
沼南の清貧咄は強ち貧乏を衒うためでもまた借金を申込まれる防禦線を張るためでもなかったが、場合に由ると聴者に悪感を抱かせた。その頃毎日新聞社に籍を置いたG・Yという男が或る時、来て話した。「僕は社の会計から煙草銭ぐらい融通する事はあるが、個人としての沼南には一銭だって借りた覚えがない。ところがこの頃退引ならない事情があって沼南に相談すると、君の事情には同情するが金があればいいがネ、と袂から蟇口を出して逆さに振って見せて、「ない、同情するには同情するが生憎僕にも金