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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
と罵声を浴びせ掛けられた。
数年前物故した細川風谷の親父の統計院幹事の細川広世が死んだ時、九段の坂上で偶然その葬列に邂逅わした。その頃はマダ合乗俥というものがあったが、沼南は夫人と共に一つ俥に同乗して葬列に加わっていた。一体合乗俥というはその頃の川柳や都々逸の無二の材料となったもので、狭い俥に両性がピッタリ粘着き合って一つ膝掛に纏まった容子は余り見っともイイものではなかった。搗てて加えて沼南夫人の極彩色にお化粧した顔はお葬い向きでなかった。その上に間断なくニタニタ笑いながら沼南と喃々私語して行く体たらくは柩を見送るものを顰蹙せしめずには措かなかった。政界の名士沼南とも知らない行人の中には目に余って、あるいは岡焼半分に無礼な罵声を浴びせ掛けるものもあった。
その頃は既に鹿鳴館の欧化時代を過ぎていたが、欧化の余波は当時の新らしい女の運動を惹起した。沼南は当時の政界の新人の領袖として名声藉甚し、キリスト教界の名士としてもまた儕輩に推されていたゆえ、主としてキリスト教側から起された目覚めた女の運動には沼南夫人も加わって、夫君を背景としての勢力はオサオサ婦人界を圧していた。