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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
美妙が私と同齢の青年であるとは前から聞いていたが、私の蓬頭垢面に反対えてノッペリした優男だったから少くも私よりは二、三歳弱齢のように見えた。が、一ト言二タ言話して見ると極めて世事慣れていて、物ごし態度も沈着払っていて二つも三つも年長のように思えた。何を話したか忘れてしまったが、こんな色の生白い若い男があんな巧い文章を書くかと呆気に取られた外には初対面の何の印象も今は残っていない。かえって当の美妙斎よりはその時美妙に紹介された同席の中根香亭の清鶴のような表々たる高人の風が今でもなお眼に残っている。香亭は幕人であった。亡朝の遺臣として声利を謝し聞達を求めず、『天王寺大懺悔』一冊を残した外には何の足跡をも残さないで、韜晦して終に天涯の一覊客として興津の逆旅に易簀したが、容易に匹を求められない一代の高士であった。
二度目に美妙を訪うたのは駿河台の自宅であった。水道橋内の莢坂を駿河台へ登り切った堤際の、その頃坊城伯爵が住っていた旗本屋敷の長屋であった。売れッ子の若い人気作者の住居とは思われない古風な武者窓の付いた頗る見窄らしい陰気な長屋であった。(この家は最う三十年も前に取毀たれてしまった。