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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

が、この挿画の策略が見事に中って作その物よりは美くしい女の裸体画が公衆の非常なる好奇心を喚起した。この画は平家の若い美くしい上臈が壇の浦から遁れて、岸へ上ったばかりの一糸をも掛けない裸体姿で源氏の若武者と向い合ってる処で、ツイこの頃も明治の裸体画の初めとして或る雑誌に写真が載せられた。今見れば何でもない拙い画であるが、好奇心から評判になると同時に道学先生の物議を醸し、一時論壇は裸体画論を盛んに戦わして甲論乙駁暫らくは止まなかった。美妙自身もまた幼稚な裸体画論を主張して、議論が盛んになればなるほど「蝴蝶」の挿画が益々評判となって、知るも知らざるも皆裸蝴蝶を喧伝した。この評判に蹴落されて春廼舎の洗練された新作を口にするものは殆んどなく、『国民之友』附録に対する人気を美妙が一人で背負ってしまった。が、実をいうとこの評判は美妙の作よりは省亭の拙い裸体画の成功であったのだ。今なら当然発売禁止となるべきこういう下劣な裸体画を寛仮した当時の内務省の役人の頭は今の官憲よりも美妙斎よりも進歩していた。S・S・S即ち鴎外の新声社派の「おも影」が『国民之友』に載って読書界を騒がしたのはこの年の夏の第二回の特別附録の時であって、美妙は文壇的には鴎外よりも早く、春廼舎に次いでのエポック・メーカーであった。