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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
を感嘆する幼稚さを呆れると同時に、文学上の野心が俄にムズムズして来た。尤も進んで春廼舎と競争しようというほど燃上ったのではなかったが、左に右く春廼舎の技巧や思想の歯癢さに堪えられなくなった結果が『小説神髄』の疑問の箇処々々に不審紙を貼ったのを携えて突然春廼舎の門を叩いた。語学校を罷めてから間もなくであった。
二葉亭が春廼舎を訪問したのは、昔の武者修行が道場破りをするツモリで他流試合を申込むと多少似通った意気込がないではなかった。が、二葉亭は極めて狷介な負け嫌いであると同時にまた極めて謙遜であって、如何なる人に対しても必ず先ず謙虚して教を待つの礼を疎かにしなかった。春廼舎を慊らなく思っていたには違いないが、訪問したのは先輩を折伏して快を取るよりは疑問を晴らして益を享くるツモリであったのだ。が、ビェリンスキーに傾倒しゴンチャローフ、ツルゲーネフ、ドストエフスキー等に飽満した二葉亭が『書生気質』の著者たる当時の春廼舎に教えられる事が余り多くなかったのは明かに想像し得られる。
が、それ以後しばしば往来して文学上の思想を交換すると共に文壇の野心を鼓吹された事は決して尋常でなかった。