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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
が、富貴顕栄を見る土芥に等しく、旧外国語学校廃止後は官報局の一属僚を甘んじて世の栄達を冷笑していた。市川文吉は多少の資産があったからでもあろうが、早くから官途を退隠して釣道楽に韜晦していた。二葉亭はこの両川の薫陶を受けたが、就中古川に親近して古川門下の顔淵子路を任じていた。その性格の一部が古川に由て作られたのは争われない。
当時の官報局は頗る異彩があった。局長が官界の逸民たる高橋健三で、翻訳課長が学界の隠者たる浜田健次郎、その下に古川常一郎、陸実等、いずれも聞ゆる曲者が顔を列べ、而して表玄関の受附には明治の初年に海外旅行免状を二番目に請取って露国の脳脊髄系を縦断した大旅行家の嵯峨寿安が控えていた。揃いも揃って気骨稜々たる不遇の高材逸足の集合であって、大隈侯等の維新の当時の築地の梁山泊知らず、吏臭紛々たる明治の官界史にあっては恐らく当時の官報局ぐらい自由の空気の横流していたはけだし類を絶しているだろう。
高橋健三は官報局の局長室に坐している時でも従五位勲何等の局長閣下でなくて一個の処士自恃庵主人であった。浜田は簡樸質素の学究、古川は卓落不覊の逸民、陸は狷介気を吐く野客であった。