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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
露国の小説にはこの間の消息がしばしば洩らされて下層社会のために気を吐いている。こういう小説に読耽ったもんだから自然下層社会に興味を持つようになったが、日本の下層社会は根本から駄目だ。精神の欠乏が物質の不足以上だから、何を説いても空々寂々で少しも理解しない。倫理も哲学もあったもんじゃない、根柢からして腐敗し切っていて到底救うべからずだ――」と日本の下級者の無知無恥に愛想を尽かしていた。こういう見当違いをしたのはツマリ理想負けがしたので、二葉亭の面目はこういう失敗にかえって躍如しておる。
官報局に出仕する間もなく二葉亭は家庭を作って両親と別居した。初めは仲猿楽町に新居を構えたが、その後真砂町、皆川町、飯田町、東片町としばしば転居した。皆川町から飯田町時代は児供が二人となった上に細君(先妻)の妹を二人までも引取り、両親にも仕送っていたから、家計は常に不足がちであった。その上に二葉亭は、ドチラかというと浪費家であって、衣服や道具には無頓着であったが食物にはかなりな贅沢をした。加之ならず、その頃の先妻は家政を料理する才が欠けていて、二人が二人とも揃って経済に無茶であったから、さらぬだに不足がちの家計が一層紊乱して、内証は岡目に解らぬほどの不如意を極めていた。