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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

の方が面白いからといって代りに『牡丹燈籠』を買ってやった事がある。『牡丹燈籠』は『書生気質』の終結した時より較やおくれて南伝馬町の稗史出版社(今の吉川弘文館の横町)から若林※(「王+甘」、第4水準2-80-65)蔵氏の速記したのを出版したので、講談速記物の一番初めのものである。私は真実の口話の速記を文章としても面白いと思って『牡丹燈籠』を愛読していた。『書生気質』や『妹と背鏡』は明治かぶれのした下手な春水ぐらいにしか思わなかった。

私のような何にも知らないものさえ実はこの位にしか思わなかったのだから、その当時既にトルストイをもガンチャローフをもドストエフスキーをも読んでいた故長谷川二葉亭が下らぬものだと思ったのは無理もない、小説に関する真実の先覚者は坪内君よりは二葉亭であるといっても坪内君は決して異論なかろうと信ずる。私は公平無偏見なる坪内君であるが故に少しも憚からずに直言する。

けれども『書生気質』や『妹と背鏡』に堂々と署名した「文学士春の屋おぼろ」の名がドレほど世の中に対して威力があったか知れぬ。当時の文学士は今の文学博士よりは十層倍の権威があったものだ。