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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
殊に大臣大将が役者のように白粉を塗り鬘を着けて踊った前代未聞の仮装会は当時を驚かしたばかりじゃない。今聴いてさえも余り突拍子もなくて、初めて聞くものには作り咄としか思われないだろう。
何しろ当夜の賓客は日本の運命を双肩に荷う国家の重臣や朝廷の貴紳ばかりであった。主人側の伊井公侯が先ず俊輔聞多の昔しに若返って異様の扮装に賓客をドッと笑わした。謹厳方直容易に笑顔を見せた事がないという含雪将軍が緋縅の鎧に大身の槍を横たえて天晴な武者ぶりを示せば、重厚沈毅な大山将軍ですらが丁髷の鬘に裃を着けて踊り出すという騒ぎだ。ましてやその他の月卿雲客、上臈貴嬪らは肥満の松風村雨や、痩身の夷大黒や、渋紙面のベニスの商人や、顔を赤く彩ったドミノの道化役者や、七福神や六歌仙や、神主や坊主や赤ゲットや、思い思いの異装に趣向を凝らして開闢以来の大有頂天を極めた。
この一夜の歓楽が満都を羨殺し笑殺し苦殺した数日の後、この夜、某の大臣が名状すべからざる侮辱を某の貴夫人に加えたという奇怪な風説が忽ち帝都を騒がした。続いて新聞の三面子は仔細ありげな報道を伝えた。この夜、猿芝居が終って賓客が散じた頃、鹿鳴館の方角から若い美くしい洋装の貴夫人が帽子も被らず靴も穿かず、髪をオドロと振乱した半狂乱の体でバタバタと駈けて来て、折から日比谷の原の端れに