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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
言換えれば椿岳は実にこの不思議な時代を象徴する不思議なハイブリッドの一人であって、その一生はあたかも江戸末李より明治の初めに到る文明急転の絵巻を展開する如き興味に充たされておる。椿岳小伝はまた明治の文化史の最も興味の深い一断片である。
(大正十三年十月補記)
椿岳の名は十年前に日本橋の画博堂で小さな展覧会が開かれるまでは今の新らしい人たちには余り知られていなかった。展覧会が開かれても、案内を受けて参観した人は極めて小部分に限られて、シカモ多くは椿岳を能く知ってる人たちであったから、今だにその画をも見ずその名をすらも知らないものが決して少なくないだろう。先年或る新聞に、和田三造が椿岳の画を見て、日本にもこんな豪い名人がいるかといって感嘆したという噂が載っていた。この噂の虚実は別として、この新聞を見た若い美術家の中には椿岳という画家はどんな豪い芸術家であったろうと好奇心を焔やしたものもまた決して少なくないだろう。椿岳は芳崖や雅邦と争うほどな巨腕ではなかったが、世間を茶にして描き擲った大津絵風の得意の泥画は「俺の画は死ねば値が出る」と生前豪語していた通りに十四、五年来著るしく随喜者を増し、書捨ての断片をさえ高価を懸けて争うようにもてはやされて来た。