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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
を愚弄した不思議な画家の生涯を送った。
だが、椿岳は根からの風流人でも奇人でもなかった。実は衒気五分市気三分の覇気満々たる男で、風流気は僅に二分ほどしかなかった。生来の虚飾家、エラがり屋で百姓よりも町人よりも武家格式の長袖を志ざし、伊藤八兵衛のお庇で水府の士族の株を買って得意になって武家を気取っていた。が、幕府が瓦解し時勢が一変し、順風に帆を揚げたような伊藤の運勢が下り坂に向ったのを看取すると、天性の覇気が脱線して桁を外れた変態生活に横流した。椿岳の生活の理想は俗世間に凱歌を挙げて豪奢に傲る乎、でなければ俗世間に拗ねて愚弄する乎、二つの路のドッチかより外なかった。
椿岳は奇才縦横円転滑脱で、誰にでもお愛想をいった。決して人を外らさなかった。召使いの奉公人にまでも如才なくお世辞を振播いて、「家の旦那さんぐらいお世辞の上手な人はない」と奉公人から褒められたそうだ。伊藤八兵衛に用いられたのはこの円転滑脱な奇才で、油会所の外交役となってから益々練磨された。晩年変態生活を送った頃は年と共にいよいよ益々老熟して誰とでも如才なく交際し、初対面の人に対してすらも百年の友のように打解けて、苟にも不快の感を与えるような顔を決してしなかったそうだ。