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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
淡島堂のお堂守となったはこれから数年後であるが、一夜道心の俄坊主が殊勝な顔をして、ムニャムニャとお経を誦んでお蝋を上げたは山門に住んだと同じ心の洒落から思立ったので、信仰が今日よりも一層堕落していた明治の初年の宗教破壊気分を想像される。
浅草は今では活動写真館が軒を並べてイルミネーションを輝かし、地震で全滅しても忽ち復興し、十二階が崩壊しても階下に巣喰った白首は依然隠顕出没して災後の新らしい都会の最も低級な享楽を提供している。が、地震では真先きに亡ぼされたが、維新の破壊の手は一番遅れて浅草に及んだので、明治十四、五年ごろまでは江戸の気分がマダ浅草には漂っていた。一つは椿岳や下岡蓮杖や鵜飼三次というような江戸の遺老が不思議に寺内に集って盛んに江戸趣味を発揮したからであった。この鵜飼三次というは学問の造詣も深く鑑識にも長じ、蓮杖などよりも率先して写真術を学んだほどの奇才で、一と頃町田久成の古物顧問となっていた。この拗者の江戸の通人が耳の垢取り道具を揃えて元禄の昔に立返って耳の垢取り商売を初めようというと、同じ拗者仲間の高橋由一が負けぬ気になって何処からか志道軒の木陰を手に入れて来て辻談義を目論見、椿岳の浅草絵と鼎立して大に江戸気分を吐こうと計画した事があった。