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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

椿岳の女道楽もまた畸行の一つに数うべきである。が、爰に一つ註釈を加えねばならないのは元来江戸のいわゆる通人間には情事を風流とする伝襲があったので、江戸の通人の女遊びは一概に不品行呼ばわりする事は出来ない。このデカダン興味は江戸の文化の爛熟が産んだので、江戸時代の買妓や蓄妾は必ずしも淫蕩でなくて、その中に極めて詩趣を掬すべき情味があった。今の道徳からいったら人情本の常套の団円たる妻妾の三曲合奏というような歓楽は顰蹙すべき沙汰の限りだが、江戸時代には富豪の家庭の美くしい理想であったのだ。

が、諸藩の勤番の田舎侍やお江戸見物の杢十田五作の買妓にはこの江戸情調が欠けていたので、芝居や人情本ではこういう田五作や田舎侍は無粋な執深の嫌われ者となっている。維新の革命で江戸の洗練された文化は田舎侍の跋扈するままに荒され、江戸特有の遊里情調もまた根底から破壊されて殺風景なただの人肉市場となってしまった。蓄妾もまた、勝誇った田舎侍が分捕物の一つとして扱ったから、昔の江戸の武家のお部屋や町家の囲女の情緒はまるで失くなって、丁度今の殖民地の「湾妻」や「満妻」を持つような気分になってしまった。