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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

日本人はいつでも外国人に率先される。写楽も歌麿も国政も春信も外国人が買出してから騒ぎ出した。外国人が褒めなかったなら、あるいは褒めても高い価を払わなかったなら、古い錦絵は既くの昔し張抜物や、屏風や襖の下張乃至は乾物の袋にでもなって、今頃は一枚残らず失くなってしまったろう。少くも貧乏な好事家に珍重されるだけで、精々が黄表紙並に扱われる位なもんだろう。今でこそ写楽々々と猫も杓子も我が物顔に感嘆するが、外国人が折紙を附けるまでは日本人はかなりな浮世絵好きでも写楽の写の字も知らなかったものだ。その通りに椿岳の画も外国人が買出してから俄に市価を生じ、日本人はあたかも魔術者の杖が石を化して金とするを驚異する如くに眼をって忽ち椿岳蒐集熱を長じた。

因襲を知るものは勢い因襲に俘われる。日本人は画の理解があればあるほど狩野派とか四条派とか南宗とか北宗とかの在来の各派の画風に規矩され、雪舟とか光琳とか文晁とか容斎とかいう昔しの巨匠の作に泥んだ眼で杓子定規に鑑賞するから、偶々芸術上のハイブリッドを発見しても容易に芸術的価値を与えようとしない。外国人は因襲を知らないから少しも因襲に累わされないで、自己の鑑賞力の認めるままに直ちに芸術的価値を定める。