轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
前編「椿 創刊号」山本周五郎一人雑誌、1946(昭和21)年7月<br>中・後編「新青年」1949(昭和24)年1月~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,300 字 · 202 页
その夜は蚊遣りを焚きつぎながら、狭いところへごたごたと寝て、明くる朝は日蔭のあるうちにと早くでかけた。友助夫妻にも案内をしたのだが、これは欠かせない用があるからと、なにがしかの香典を包んで断わりが来ていた。まだおせんのことにこだわっているのであろう、それにしてもあんなに親しかった古い友達の法会なのにと、おせんは亡くなった人たちに済まなく思ったが、そこに気がついたかどうか、松造はただ「それではあとで送り膳でも届ければいい」と云っただけであった。
両国橋の脇から舟に乗っていったが、明日は回向院の川施餓鬼があるそうで、たて川筋はどこでも精霊舟を作るのに賑わっていた。舟というものに乗ったことのない幸太郎は、初めのうちさも恐ろしそうで、固くおせんに抱きついたままだったが、暫くするうちに馴れたとみえ、しきりに水を覗いたり、移り変る両岸の風物に興じたりしはじめた。
「こうぼ、あんよしないよ、こうぼ、えんちゃよ、おうち動くよ、おうちみんな動くよ」
自分が坐っているのに家並の移動してみえるのがふしぎらしい、松造は珍しくにっと笑った。母親のそばに、きちんと坐っていた、お鶴という女の子は、それを聞いてそっと母親のほうへ口を寄せ、