轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

やなぎばしものがたり

柳橋物語

山本 周五郎

前編「椿 創刊号」山本周五郎一人雑誌、1946(昭和21)年7月<br>中・後編「新青年」1949(昭和24)年1月~3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,300 字 · 202 页

青空文庫

年月にすれば僅か三年あまりのことだけれど、あの火事のまえ、二人が仲良くお針の師匠の家へかよっていたじぶんのことは、十年も十五年も昔のようにしか思えないのである。

「お花さんていうひとがいたわねえ、髪の毛の赭い、おでこの、お饒舌りばかりしていつもお師匠さんに叱られていた、――あのひとあんなにがらがらだし、歯を汚なくしていたんであたし嫌いだったけれど、いま思うと悪気のない可愛いひとだったのね」

「それからお喜多さんてひと覚えている、おせんちゃん、意地が悪いのと蔭口ばかりきくのでみんなに厭がられていたでしょう、あたしも、お弁当の中へ虫を入れられたことがあるわ、でも考えてみるとあのひと寂しかったんだわ、誰も親しくして呉れる者がないので、寂しいのと嫉ましいのであんな風になったのよ、あたしたちこそ思い遣りがなかったんだわね」

「おもとさんと絹さん、それからおようちゃんの三人はお嫁にいったの、お絹さんは向う両国の佃煮屋へいって、去年だかもう赤ちゃんができたわ、――みんないい人ばかりだったわねえ、いつかみんなでいっぺん会いたいわねえ、おせんちゃん」

そんなに話しては躯に障るからと注意するのだが、すぐにまたひきいれられるような口ぶりで語りだすのである。