轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
01 第一部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,223 字 · 320 页
」
そう言って、お民はじろりと次郎を見た。
次郎は平気だった。しかし、もうその時には随分退屈しているところだったので、眼を天井にそらしたり、膝をもじもじさせたりして落ちつかなかった。
お民はむろん次郎のそうした様子を見のがさなかった。
「次郎、お前、知ってるでしょう。」
次郎はにやにやして母の顔を見た。
「ね、そうでしょう。」
お民はいやにやさしい声をして、たたみかけた。
「僕、お祖父さんの算盤なんか見たこともないや。」
と、次郎は、わざとらしく天井を見ながら答えた。
「見たこともない? お祖父さんのあの算盤を? おとぼけでないよ。」
「ほんとうだい。」
次郎は少し躍起となった。
「そんなはずはありません。お前、そんな嘘をつくところをみると……」
お民は言いかけてちょっと躊躇した。次郎が恭一のカバンを便所に放りこんだ時のことを考えると、高飛車に出ても駄目だと思ったからである。
しばらく沈默がつづいた。次郎は、つぎの言葉を催促するかのように、皮肉な眼をして母の顔を見まもっていた。
お民は大きく溜息をついた。そしてしばらくなにか考えていたが、
「母さんがいいお話をしてあげるから、三人とも、よくお聴き、昔、アメリカというところにね……」