轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

01 第一部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,223 字 · 320 页

青空文庫

土曜から日曜にかけて、正木のお祖父さんや、お祖母さんにつれられて、おりおり本田の家にも訪ねて行った。しかし、彼が帰りをしぶるようなこととは一度だってなかった。ただ、町の賑やかさは、彼にとって新しい刺戟だった。――町は、人口三四万の、古い城下町だったのである。

俊亮夫婦は、この町の、割合賑やかな通りに、店を一軒借りて酒類の販売を始めていた。店は間口も相当に広く、菰かぶりや、いろいろの美しいレッテルを貼った瓶などを、沢山ならべてあって、次郎の眼には眩ゆいように感じられたが、奥は、以前の家とは比べものにならない、狭い、汚ならしい部屋ばかりだった。恭一と俊三とが机を並べている部屋は、ちょうど店の二階になっていた。そこは物置同様で、鉄格子の小窓がたった一つあいているきりだった。庭もあるにはあった。しかし、それは、隣家の苔だらけの土蔵で囲まれた、ほんの五六坪ほどのもので、そこからは、湿っぽい土の匂いが、たえず室内に流れて来た。次郎は、その匂いをかぐと、すぐ滅入りそうな気になるのだった。ことに、昼間でも真っ暗な、狭くるしい便所に行かなければならないのが、何よりもいやだった。