轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
01 第一部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,223 字 · 320 页
彼の火傷が治って行くのとは反対に、お民の病気は次第に重くなって行った。喀血がないので急激な変化は見せなかったが、暑気がひどくこたえたらしく、衰弱が日ましに加わって行くのが誰の眼にも見えた。
俊亮は、これまで大てい一週に一度は顔を見せていた。しかしどういうわけか、恭一や俊三をつれて来ることはめったになかった。夏休みになったら、すぐにもつれて来てゆっくりさせるのだろうと、次郎も期待し、正木一家でもそう噂していたが、やっと二人が父につれられて来たのは、次郎が火傷をしてから五六日もたった頃であった。
次郎の火傷が三人を驚かしたことはいうまでもない。しかし、俊亮は正木一家から一通り説明をきくと、
「いやどうも、いつまで経っても仕様のない奴で。ご心配をおかけして申訳ありません。」と言ったきり、すぐ話をお民の病状にうつしてしまった。お民の話になると、みんなの調子ががらりと変った。半ば笑いながら火傷の話をしていたみんなの様子が急に沈んで行った。そばで聞いていた次郎は何だか置きざりにされたような気がした。そこで彼は恭一と俊三とを別のところにつれて行って、しきりに火傷の話をした。