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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
麦青む
一
「余り久しく相父の姿を見ないので、慕わしさのあまり召し還したまでで、べつに理由はない」
と正直に答えた。
孔明は色をあらためて恐らくはこれ何か内官の讒に依るものではありませぬかと、突っこんでたずねた。帝は黙然たるままだったが、
「いま相父に会って、初めて疑いの心も解けたが、悔ゆれども及ばず、まったく朕のあやまりであった」と深く後悔のさまを示した。
孔明は、相府へ退がると、直ちに宮中の内官たちの言動を調べさせた。出師の不在中孔明を誹謗したり、根もない流説を触れまわったりしていた悪質の者数人は前から分っていたのですぐ拉致されて来た。
孔明は彼らに詰問した。
「いやしくも卿らは、戦いの後ろにあって、国内の安定と民心の戦意を励ます重要な職にありながら、何で先に立って、不穏な流説を行い、朝野の人心を惑わしめたか」
ひとりの内官は懺悔してまっすぐに自白した。
「戦いがやみさえすれば、暮し向きも気楽になり、諸事以前のような栄耀が見られると存じまして。つい……」
「ああ、何たる浅慮な――」と、孔明は痛嘆して、彼らの小児病的な現実観をあわれんだ。
「もし蜀が卿らのような考え方でいたら、戦いはわれから避けようとしても、魏から押しつけてくるし、呉からも持ち込んできて、好むと好まざるとにかかわらず、蜀境の内において、今日の戦争をしていなけれ