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さんごくし

三国志(八)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁

青空文庫

四

今しそこから慌てて南の門へ逃げ出してゆく一輛の四輪車がある。扈従の者も、五、六騎の将と百人ばかりの小隊によって守られゆくに過ぎない。あれよ、孔明にまぎれもなし、追いかけてわれこそ捕えんと、族の部将たちは、馬を揃えて馳け出そうとした。

「いや待て、愈※(二の字点、1-2-22)、いぶかしいぞ」

越吉元帥は、それを制したが、雅丹宰相はあざ笑って、

「たとえ彼に多少の詐謀があろうと、この軍勢をもって、この勝利の図にのせて追えば、何ほどのことやあろう。――敵の総帥を眼にみながら、これを見遁すという法はない。断じて逸すべからずである」と自ら前に立って烈しく下知した。

孔明の車は、その間に、南の柵門を出て、陣後につづく林の中へ隠々として逃げかくれてゆく。

「やるなっ」

族の騎馬、戦車、歩兵などは、雪を蹴り、雪にまみれ、真っ白な煙を立ててそれを追った。

四

このとき姜維の一手は、また南の柵外に現れて、※(「鬼」の「丿/田」に代えて「義-我」、第3水準1-90-28)族の大軍がそれから出て、孔明を追撃するのを、妨害するかのような態勢をとった。

「うるさき小将。あれから先へ片づけろ」