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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
三
三
両軍の決戦的意気といい、その精猛を挙げつくしている点といい、また戦場の地勢から観ても、終日にわたったその日の激戦は、まさに蜀魏の関ヶ原ともいえるものであった。
蜀の馬忠、張嶷、呉懿、呉班などが、まず四陣を展いて、
「来れ。――来らば」
と、手具脛ひいて待つ所へ、魏軍三万の張、戴陵はほとんど鎧袖一触の勢いでこれへ当ってきた。
時は大夏六月。人馬は汗にぬれ、草は血に燃え、一進一退、叫殺、天に満つばかりだった。
蜀は、時に急に、時に緩に、やがて約二十里もくずれ、さらに五十里も追われた。
朝から急歩調で、追迫をつづけ、かつ、攻勢をゆるめずにあった魏は、炎日と奮闘に、ようやく疲れを示した。刻、陽も中天の午の刻に近かった。
すると、一峰の上で、突として紅の旗がうごいた。
孔明の下せる大号令のしるしである。
「今か。今か――」と、それを待っていた関興の五千騎は、疾風のごとく、谷の内から出て、魏勢の横を衝いた。
いったん退いた蜀の四軍も、たちまちひるがえって、張※(「合+おおざと」、第4水準2-90-10)、戴陵へ大反撃を捲き起してくる。
凄愴なる血の雲霧が、眼のとどくかぎりの山野にみなぎった。