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さんごくし

三国志(八)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁

青空文庫

二

「ああ、いけない。趙雲の子が訪ねきたか、……老松の梢はついに折れたそうな」

と、嗟嘆しながら、手の盃を床へ投げてしまった。

二

彼の予感はあたっていた。

果たして、やがてそこへ導かれて来た趙雲の二人の子は、

「昨夜、父が亡くなりました」

と、父趙雲子龍の病歿を報せにきたのであった。

孔明は耳をそばだてて惜しんだ。

「趙雲は、先帝以来の功臣、蜀の棟梁たる者であった。大きくは国家の損失であるし、小さくは、わが片臂を落されたようなここちがする」

彼は、潸然と涙した。

直ちに、この悲しみは、成都へも報じられた。後主劉禅も声を放って泣き、「むかし当陽の乱軍中に、趙雲の腕に救われなかったら、朕が今日のいのちはなかったものである。悲しいかな、いまその人は逝く」

勅して、順平侯と諡し、成都郊外の錦屏山に、国葬をもって厚く祭らしめた。また、その遺子趙統を、虎賁中郎に封じ、弟の趙広を、牙門の将に任じて、父の墳を守らせた。

ときに、近臣は奏して、

「漢中の諸葛亮から、ただ今、楊儀が使いとして、到着いたしました」

という趣を上聞に達した。

楊儀は闕下に伏して、うやうやしく孔明の一書を捧呈した。