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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
うしおのような声をあげて、われ先にと、逃げ始めたのである。
「孔明の車はどこへ失せたか」
と、費耀は剣をひっさげて、いよいよそれを急追した。このぶんでは馬の脚力次第で、孔明の車に追いつき、その首を一刃に切って落すも至難でないと考えたのである。
「追えや、急げ、雑兵などに眼をくるるな」
五万の兵はまるで山海嘯の如く谷を縫って流れた。すでにして姜維が火をかけた山々の火気が身近く感じられてきた。枯木生木を焼く猛烈な炎はバリバリと天地に鳴って、四山の雪を解かし、それは濁流となって谷へそそいでくる。
――だが、敵は遂に、その影を絶って、どこへ隠れたか見えなくなった。行き当った谷口は、岩石や巨材を積んで封鎖されている。
「はてな。第一、姜維の反軍はどう行動しているのだろう?」
ふとこう疑ったとき、突如、彼は身ぶるいに襲われた。――計られたかと、感じたからである。
けれど、すでに遅かった。大木、大石、油柴、硝薬などが、轟々と、左右の山から降ってきた。馬も砕け、人もつぶされ、阿鼻叫喚がこだました。
「し、しまった。さては、敵の謀略」
費耀のおどろきは絵にも描けないほどである。