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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
もはや先へ行くは無用。隴西の二郡はすでに陥ちてわが手にあり、汝らも無益な戦いやめて、わが前にを投げよ」
孔明は四輪車のうえから呼ばわりつつ、むらがる敵を前後の旗本に討たせながら、郭淮、孫礼のほうへそれを押しすすめて来た。
「よし、この眼に孔明を見たからには、討ちもらしてなるものか」
二将は喚き合って血の中へ挺身してきたが、王平、姜維の二軍に阻まれ、かつ手勢を討ち減らされて、
「いまは、ぜひなし」と、無我夢中、逃げ出した。
「待てっ。なおここに、蜀の張苞あるを知らないか。張飛の子、張苞に面識をとげて行かぬは、冥加でないぞ」
追いかけた者は、名乗るが如き張苞だった。しかし、敵の逃げるのも盲滅法だったし、彼の急追も余りに無茶だったので、松山の近い岩角に、その乗っていた馬がつまずいたとたん、馬もろとも、張苞は谷の底へころげ落ちてしまった。
あとに続いていた蜀兵は、それを見ると、
「やや。張将軍が谷へ落ちた――」と、逃げる敵もさておいて、みな谷底へおりて行った。あわれ張苞、岩角に頭を打ちつけたため重傷を負い、流れのそばに昏絶していた。
二
郭淮と孫礼が惨たる姿で逃げ帰ってきたのを見ると、仲達は慙愧して、かえって、ふたりへ詫びた。