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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
、第4水準2-90-10)ありと、大いに聞えたものだが、その理由なきに非ざるものを、今夜の彼の態度にも見た。やがて彼は蜀にとって油断のならぬ存在になろう。折あらば、かならず討ってしまわねばならない害敵の一人だ」
一方、魏の本陣では、この惨退を知った司馬懿仲達が、手を額にあて、色を失って、
「またわが考えの先を越されていたか。――孔明の用兵は、まさに神通のものだ。凡慮を超えている」と、その敵たることを忘れて、ただただ嘆じていたということである。いわゆる肚の底から「負けた」という感じを抱いたものだった。
「――さもあらばあれ、彼も人なり、我も人なり、司馬懿仲達ともあるものが、いかでこれしきの敗れに屈せんや」と、彼は自らの気を振って、さらに心を落着け、昼夜、肝胆を練りくだいて、次の作戦を案じていた。
序戦二度の大捷に、蜀軍は大いに士気を昂げたばかりでなく、魏軍の豊かな装備や馬匹武具などの戦利品も多く獲た。けれど、司馬懿の軍は、それきり容易にうごかなかった。
孔明もやむなく滞陣のまま半月の余を過した。孔明は託ち顔に、
「うごく敵は計り易いが、全くうごかぬ敵には施す手がない。