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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
太守はすでに、孔明の計に陥されておいでになる」と、身を挺して、諫めつづけている。
年はまだ二十にも満たぬ紅顔の若武者である。その何者なるか、いかなる素姓の者かを知らぬ人々は、
「何者です? あれは」と傍らの者に聞いていた。
同郷の者は、それへ語るに、
「彼はこの天水郡冀城の人で、姜維、字は伯約という有為な若者です。父の姜冏はたしか夷狄の戦で討死したかと思います。ひとりの母に仕えて、実に孝心の篤い子で、郷土の評判者でした。――また姜維の母もえらい婦人で、寒燈の夜おそく、物縫うかたわらにも、つねに孤の姜維をそばにおいて、針の運びのあいだに、子の群書を読むを聞き、古今の史を教え、また昼は昼で耕しつつ武芸を励まし、兵馬を学ばせていたということです。――子の姜維も天才というのでしょうか、年十五、六のときにはもう郷党の学者でも古老でも、彼の才識には、舌を巻いて、冀城の麒麟児だといっていたほどですよ」
そんな噂なども交わされながら、人々が騒めき見ているうちに、彼方の太守馬遵はついに出陣を見合わせたものか、駒をおりて、数多の大将や一族の中に、姜維をも連れて、城閣の中へ戻ってしまった。