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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
その奉行は都尉苟安という男だったが、酒好きのため、途中でだいぶ遊興に日を怠り、日限を十日余りも遅れてやっと祁山に着いた。
「はて、なんと弁解しようか」
当然な譴責を恐れて、苟安は途々考えてきたらしい。孔明の前に出ると白々しく云った。
「渭水を挟んで大会戦が行われていると途中で聞き、万一大事な兵糧を敵方に奪われてはと存じ、わざと山中に蟄伏して、戦いのを終るのを待って再び出かけました。そんなわけでありまして」
孔明はみなまで聞かず、叱って云った。
「兵糧は戦いの糧。運輸の役も戦いである。だのに、戦いを見て戦いを休めるというのは、すでに大なる怠りだ。しかも汝の言い訳は虚言に過ぎない。汝の皮膚は決して山野に蟄伏して雨を凌いできたものでなく、酒の脂に弛んでいる。すでに運輸に罰則あり、三日誤れば徒罪に処し、五日誤れば斬罪を加うべしとは、かねて明示してある通りだ。今さら、いかにことばを飾るも無用であろう」
苟安の身はすぐ断刑の武士たちへ渡された。長史楊儀は、彼が斬られることになったと聞いて、大急ぎで孔明のところへ来て諫めた。
「ご立腹はもっともですが、苟安は李厳がたいへん重用している部下ですから、彼を処刑するときっと李厳がつむじを曲げましょう。