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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
孔明の装束も、常とはすこし変っている。いつもの綸巾ではなく、頭には華やかな簪冠をいただいている。衣はあくまで白く、佩剣の珠金が夜目にも燦爛としていた。
また関興やそのほかの旗本は、みな天逢の模様のある赤地錦の戦袍を着、馬を飛ばせば、さながら炎が飛ぶかと怪しまれた。
かくてこの天より降れる鬼神の陣かとも疑われるこの妖装軍は、深更に陣地を発して、隴上へ向って行った。
そのあとから約三万の歩兵が前進した。これは手に手に鎌を持っているのだ。おそらく戦いの隙を見ては麦を刈って、これを後方へ運搬する手筈のもとに組織された軍であろう。日頃の行軍編制とはまるで違う。なにしても異様なる有様であった。
魏本軍の前隊を哨戒していた物見の兵は仰天した。こけ転んで、部将に告げ、部将はこれを、中軍へ急報した。
「なに。鬼神の軍が来たと」
司馬懿は嘲笑って、陣頭へ馬をすすめて来た。時はまさに丑の真夜中であった。
北斗七星旗
一
青貝の粉を刷いたような星は満天にまたたいていたが、十方の闇は果てなく広く、果てなく濃かった。陰々たる微風は面を撫で、夜気はひややかに骨に沁む。
「なるほど、妖気が吹いてくる――」