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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
――太守の軍が城を出たらその留守を狙う用意をして」
「え? 伏兵がおるか」
「ご心配に及びません。――彼ノ計ヲ用イテ計ルハ彼ノ力ヲ以テ彼ヲ亡ボス也――です。願わくは太守には、何もご存じない態で、ふたたびご出陣と触れ、城外五十里ほど進み、すぐまた、急にお城へ取って返して下さい。――そして私は別に五千騎を擁して、要害に埋伏し、搦手の山にある敵の伏兵が、虚に乗ってきたところを捕捉殲滅します。――もしその中に孔明でもいてくれれば、こちらの思うつぼです。かならず生捕りにせずにはおきません」
姜維の言は壮気凛々だった。さはいえまだ紅顔の美少年といってもいい若武者、いかにその天質が人よりすぐれて武技兵法に通達する者にせよ、一城一郡の興廃を、かかる弱冠の者の一言に託すのは無謀であるという意見も、一族や侍臣のうちにないこともなかったが、馬遵はふかく姜維に感じていたので、
「もし姜維の観察がまちがっていたところで、それが間違いなら何も味方にも損失はないことだ。ともあれ彼の献策を用いてみよう」と、ふたたび触れ出して、その日の午過ぎから出陣を開始し、南安城の後詰に行くと称えて、城外約三、四十里まで進んだ。