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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
「それを怒ったか」
「あたりまえでしょう」
「怪しからぬことだ」
「魏延が怪しからんのですか」
「いや、馬岱のことを申しておるのだ。かならずさような手違いのないようにと、火をかけるにも、合図をなすにも、すべてを固く馬岱に命じてあったはず。――馬岱を呼べ」
孔明の怒りのほうがむしろ甚だしい程だったから、魏延もちょっと意外に打たれた。
馬岱は孔明に呼びつけられて、面罵された。その上、衣をはがれ、杖五十の刑をうけて、その職も一軍の大将から、一組の小頭に落されてしまった。
馬岱は、自陣へもどると、士卒に顔も見せず、痛涙悲憤していた。すると、夜に入って、孔明の側近、樊建という者が、そっと訪ねてきて、
「……実は、丞相のお旨をうけて参った」と、くれぐれもなだめた。
「まったくは、やはり魏延をお除きになるお心だったが、不幸、大雨のために、司馬懿をも取り逃がし、彼を亡きものにする計画も果されなかったのだ。とはいえ今、魏延に叛かれては、蜀軍の崩壊になる。そのため、何の科もない貴公にあのような辱と汚名を着せたが、これも蜀のためと、眼をふさいでくれよとの丞相のお言葉だ。どうかこらえて下さい。