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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
――が、孔明はその冒険を避けて、なお持久長攻に便な五丈原へ移った。
五丈原は宝鶏県の西南三十五里、ここもなお千里を蜿る渭水の南にある。そして従来数次の陣地に較べると、はるかに遠く出て、中原へ突出している。
しかも、ここまで来ると、敵国長安の府も潼関も、また都洛陽も、一鞭すでに指呼のうちだ。
(このたびこそ、ここの土と化するか、敵国の中核に突き入るか、むなしく再び漢中には還らぬであろう)
となしている孔明の気魄は、その地点と軍容から観ても、顕然たるものだった。
しかもなお、司馬懿が、額を撫でて、
「まずまず、これで味方にとって大幸というべしだ」
と、喜悦したわけは、持久戦を以て対するならば、彼にも自信があったからである。
ただ困るのは、大局の見通しを持たぬ麾下が、ややもすると彼を軽んじて、
(卑怯な総帥、臆病な都督)と、あげつらい、陣中の紀綱をみだしがちなことであった。
ために司馬懿は、わざと魏朝廷に上表して、戦いを請うた。朝廷は再度、辛毘を前線にさしむけ、
「堅守自重、ただそれ、守るに努めよ」と、重ねて全軍を戒めた。
蜀の姜維は、さっそく孔明に告げた。