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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
ただ彼として、籠城に際して、最も大きな苦痛だったのは、事急のために、糧米を搬入するいとまがなく、冀城の内にも、わずか十日に足りない食糧しかないことだった。
ところが、城中から見ていると、毎日のように多くの車が、食糧を満載して、蜀の輜重隊に守られて城外の北道を通ってゆく。
「この上は、あれを奇襲して」
と、ついに意を決して、兵糧を奪いに出た。――これこそ姜維が孔明の手に落ちる一歩だったのである。
王平、魏延、張翼などの伏兵に待たれて、姜維は二度と城へ帰ることができなかった。従えて出た手勢はことごとく討ちとられ、残る数十騎も、張苞の一陣を突破するうちほとんど死なせて、いまは彼ただ一騎となり、逃げるに道もなく、ついに天水城へ奔ってしまった。
「それがしは冀城の姜維だ。無念ながら冀城はやぶれた。ここをお開け下さい」
城門の下に立って呼ぶと、意外にも矢倉の上から馬遵はこう罵った。
「だまれっ。汝のうしろには、遠く蜀の軍勢が見えるではないか。欺いて、門を開かせ、蜀軍をひき入れん心であろう。――匹夫め、裏切者め、なんの顔容あって、これへ来たか」
姜維は、仰天して、さまざまに事情を下から訴えたが、叫べば叫ぶほど、馬遵は怒って、