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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
枢要な国務に参与する者の心構えの一つとして、孔明はこれを生活にも実践したものであろう。後漢以来、武臣銭を愛すの弊風は三国おのおのの内にも跡を絶たなかったものにちがいない。
無私忠純の亀鑑を示そうとした彼の気もちは表の辞句以外にもよくあらわれている。
彼は清廉であるとともに、正直である。兵を用いるや神算鬼謀、敵をあざむくや表裏不測でありながら、軍を離れて、その人間を観るときは、実に、愚ともいえるほど正直な道をまっすぐに歩いた人であった。
子のように愛していた馬謖を斬ったなども、そのあらわれの一つといえるし、また、劉玄徳が死に臨んで、
「遺孤の身も、国の後事も、一切をあげて託しておくが、もし劉禅が暗愚で蜀の帝王たるの資質がないと卿が観るならば、卿が帝位に即いて、蜀を取れ」
と、遺言したにかかわらず、彼は毛頭そんな野心は抱かなかった。
だから晩年、年を次いでの北伐遠征には、ずいぶん孔明に従って行った将士が、他山の屍となって帰らなかったが、蜀中の戦死者の遺族も、決して、彼にたいして怨嗟しなかった。
のみならず、孔明の死に会うや、蜀の百姓は、廟を立て、碑を築き、彼の休んだ址も、彼の馬をつないだ木も、一木一石の縁、みな小祠となって、土民の祭りは絶えなかった。