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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(八)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 頁
由来、丞相の作戦はいつでも念入りの度が過ぎて、かえって味方に疑いを起さしめる」
そして山上へ陣構えをいいつけたので、副将王平はきびしく戒めた。
「丞相の令し給えるご主旨は、山の細道の総口を塞ぎ、そこを遮断するにありましょう。もし山上に陣取るときは、魏軍に麓を囲まれて、その使命を果しきれますまい」
「それは婦女子の見で、大丈夫の採るところでない。この山低しといえど、三方は絶地の断崖。もし魏の勢来らば、引き寄せて討つには持ってこいの天嶮だ」
「丞相は大いに勝てとは命ぜられませんでした」
「みだりに舌の根をうごかすのはよして貰いたい。孫子もいっておる。――是ヲ死地ニ置イテ而シテ後生ク――と。それがしは幼より兵法を学び、丞相すら事にあたっては計をこの馬謖に相談されておるのだ。だまって我が命令のようにすればよい」
「では、あなたは山上に陣をお構えなさい。てまえは五千騎をわかち、別に麓に陣取って、掎角の勢いに備えますから」
馬謖は露骨に不愉快な色を示した。大将の威厳を傷つけられた気がしたのだ。その反面の心理には特に選ばれて主将となって来たことや、日頃から孔明の寵をうけているという気分が満々と若い胸にあった。