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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 508,883 characters · 1017 screens

Aozora Bunko

「大先生の御病気はその後いかがでございますな。公務に追われて、ごぶさたを致しておりますが」

「相変らずでございます」

「なにせい、御老齢のことでもあるしの。……オオ時に、教頭の北条新蔵どのが、またしても、返り討ちにされたという噂ではござらぬか」

「もうご承知ですか」

「つい今朝方、藩邸で聞きましたが」

「ゆうべのそれを――もう今朝細川家で」

「佐々木小次郎は、藩の重臣、岩間角兵衛殿の邸に食客しておるので、その角兵衛どのが、早速、吹聴したものでござろう。若殿の忠利公すら、すでにご存知のようでござった」

余五郎の若さでは、それを冷静に聞いていることはできなかった。そうかといって、顔いろの動きを見られるのも嫌だった。さり気なく範太夫には別れて家へ戻ったが、その時はもう、彼の肚は決まっていた。

街の雑草

一

耕介の妻は、粥を煮ている。

奥の病人のためにである。

その台所を覗いて、

「おばさん、もう梅の実が黄色くなったよ」

と伊織が教えた。

耕介の妻は、

「ああ、熟れて来たね、蝉も啼き出すし」

と、なんの感激もない。

「おばさん、どうして、梅の実を漬けないのさ」

「小人数だもの。