Japanese reading practice

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 508,883 characters · 1017 screens

Aozora Bunko

三

三

熊はかん筋を立てて、

「止せっ」

と、ふいに呶鳴った。

武蔵は、箸と、蕎麦汁の茶わんを持ったまま、

「そちは、誰だ?」

「知らねえのか。博労町へ来ておれの名を知らねえ奴あ、もぐりか、つんぼぐれえなものだぞ」

「拙者もすこし耳が遠いほうだから、大きな声でいえ。どこのなにがしだ」

「関東の博労なかまで、秩父の熊五郎といやあ、泣く子もだまる暴れ者だが」

「……ははあ。馬仲買か」

「侍あいての商売で、生き馬を扱ってる人間だから、そのつもりで挨拶しろい」

「なんの挨拶?」

「たった今、その豆蔵をよこしやがって、うるせえとか、喧しいとか、きいたふうな御託を並べやがったが、うるせえな博労の地がねだ。ここは殿様旅籠じゃねえぞ、博労の多い博労宿だ」

「心得ておる」

「心得ていながら、おれっちが遊び事をしている場所へ、何でケチをつけやがるんだ。みんな腐って、あの通り、壺を蹴とばして、てめえの挨拶を待っているんだ」

「――挨拶とは?」

「どうもこうもねえ、博労の熊五郎様、他一統様へ宛て、詫証文を書くか、さもなけれや、てめえを裏口へしょッぴいて、馬の小便で面を洗わしてくれるんだ」

「おもしろいな」