Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 508,883 characters · 1017 screens

Aozora Bunko

三

「……?」

草むらの石の陰に、石みたいになって、眼をまろくしていた城太郎は、その人間が、大蔵にちがいないと見てはいるが、それでもまだ、自分の知っている奈良井の大蔵とは、人がちがう気がしてならなかった。世の中に、奈良井の大蔵という者が、二人いるような気がして来るのだった。

「……よし」

大蔵は、穴の中にはいって、地面から首だけ出して、そういった。

穴の底を、足で踏み固めているのだった。

自分を埋めて、土をかぶるつもりなら、止めなければならない――と城太郎は考えていたが、そんな心配はいらなかった。

穴から跳び出すと、彼は松の木の下に置いてあった嚢のような重い物を、穴のそばまで、ずるずる引き摺って来て、嚢の首を括ってある麻の紐を解いている。

風呂敷かと思ったら、それは革の陣羽織であった。陣羽織の下に、もう一重、幕みたいな布で包んである物を開けると、驚くべき黄金の海鼠があらわれた。二つ割りの竹の節のあいだに、熔かした黄金を流したもので、竹流しの竿金ともよぶ地金で、それが何本もあった。

それだけかと思っていると、彼はこんどは帯を解いて、腹巻だの、背中だの、体じゅうから、慶長判に鋳き上げてある金を、何十枚となく振りこぼした。