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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Read 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 508,883 characters · 1017 screens
「そうだ、自分で常にいい馴れている言葉も、そうしてお前の口からいわれると、かえって教えられる気持がする。――今度という今度こそは、武蔵も覚悟のとおり、九死のうち一生も覚束なかろう。それゆえ、なおさらお通さんには会わぬ方がよいのだ」
「なぜ。なぜ! お師匠様」
「それはお前に話してもわからぬ。お前も今に大きくなってみると分る」
「ほんとに……ほんとにお師匠様は、近いうちに、死ぬようなことがあるの」
「お通さんへはいうなよ。……病気なそうじゃが、体を堅固にして、ゆく末よい道を選んでたもれと……なあ城太郎……そうわしがいって行ったと申して、今のようなことは、聞かさぬがよいぞ」
「嫌だ。嫌だ。おいらはいうよ! そんなこと、お通さんに黙っていられるもんか。――なんでもいいからお師匠様、来ておくれよ」
「わからぬ奴!」
武蔵が振り離すと、
「でも! ……お師匠様」
城太郎は泣き出してしまい、
「でも! ……でも! ……それじゃあ、お通さんが、あんまり可哀そうだ……。お通さんに……今日のこと話したら、お通さんは、よけいに病気がわるくなっちまうにきまってら」
「――だからこういってくれ。