Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Read 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 508,883 characters · 1017 screens

Aozora Bunko

れる。

武蔵が今、朱実と道連れと聞いて、友のためにハッと思ったのは、そうした複雑な事情と性格をもっている女性と、この弱気な友との人生の旅が、どんな暗黒の谷間へ入ってゆくことか、余りにも見えすいた不幸な道連れ――と直ぐ思われたからであった。

また、どうしてだろうか。お甲といい、朱実といい、選りに選って、そういう危ない道連ればかりが、この男に付くのは。

「…………」

武蔵の黙っている面を、又八は、又八らしく解釈して、

「怒ったのか。……おれは秘していては悪いから正直にいってしまったが、おめえの身に取れば、いい気持はしないだろうからな」

と、いった。

憐れむように、武蔵は、

「ばかな」

と、顔色を払って、

「余りにも、不運に出来ているのか、不運を自分で作るのか――と、おぬしのために、おれは茫然とするのだ。……お甲に懲りておりながら、なんでまた……」

口惜しくすら武蔵は思って、そのいきさつを糺すと、又八は、三年坂の旅籠で出会ったことから、過ぐる夜、瓜生山で再び会って、ふと出来心のように、江戸へ駆落ちする相談を決め、連れの母親を捨ててしまったことまで、ありのままに話して隠すところもない。