Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Read 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 508,883 characters · 1017 screens
駕かきは、空駕の三挺を、残らず舁いで、
「旦那、駄賃はどちらで戴くんですえ?」
「半瓦の家でもらえ」
小次郎はいい捨てて、また、そこらを駈け廻った。河べりを覗いてみたり、材木の陰を検めてみたりしたが、どこにも見当らなかった。
(辻斬だろうか?)
少し戻ると火除地の桐の木畑がある。そこを通って、彼はもう半瓦の家へ戻ろうと考えていた。出鼻の不首尾ではあるし、お杉ばばがいないでは意味がない。また、こう乱れた気持で武蔵と剣のあいだに相見ることは、避けるほうが賢明で、当ってゆくのは愚であると考えたからである。
すると。
桐林の道のわきから、ふいに刃らしい光がうごいた。ハッと眼を向ける間もなかった。頭の上の桐の葉が四、五枚ばさっと斬れて散りながら、その迅い光はすでに彼の頭へ臨んでいた。
七
「――卑怯ッ」
と、小次郎はいった。
「卑怯でない」
と二の太刀は、ふたたび、彼の退いた影を追い――ばさっと青桐の木陰から、闇を破って、跳ね出した。
三転して、小次郎は、七尺も跳び退き、
「武蔵ともあろう者が、なぜ尋常に――」
と、いいかけたが、そのことばを途中から驚きの声に変えて、