Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

お松でさえも、手に負えないでいるところを見兼ねた七兵衛が、

「与八さんは、あとから来るから、みんなで一足先へ行っているのだよ」

と言って、あがく郁太郎を、上からグッと抱きあげてしまいました。

「いや、いや、与八さんと一緒でなければ、どこへも行かない」

抱かれた七兵衛に武者ぶりついて、ついに、七兵衛の面を平手でピシャピシャと打ちながら、泣き叫ぶ体は、全く今までに見ないことでした。

「では、与八さんのところへ連れて行ってやろう、さあ、こっちへこう戻るのだね」

七兵衛が、如才なく後戻りをしてみせる、とその瞬間だけは郁太郎が納得しました。

そうして、物の二三間も歩いて、もうこの辺と、引返そうとすれば、郁太郎は、火のつくようにあがいて、

「いやだ、いやだ――与八さんの方へ……」

なだめても、すかしても、手段の利かないことを七兵衛もさとり、一行の者が全くもてあましてしまいました。

「与八さんに送って来てもらえばよかったのにねえ」

お松でさえも愚痴をこぼすよりほかはないと見た七兵衛は、

「この子は、与八さんという若い衆が本当に好きなのだから、この子の心持通りにしてやるのがようござんしょう」