Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
五
――木枯、しぐれ、雪。……今戸橋のうえからみた短日の水のいろのあじきなさも忘れることが出来なければ、机のうえにのせた手ランプの下、英習字に運ぶペンの音にまぎれた虫の声のおぼつかなさも忘れることが出来なければ、霜の冷めたく満ちた空、すっかりもう葉をふるい落しつくした銀杏の梢の、その空の下にそういってもしずかに眠っているのを帰り路の格子のそとにたまたまみ出した心細さもわたしには忘れることが出来ない……
そのころ公園の常盤座に菊地武成という書生役者が出ていた。野暮な感じの二枚目で、色男の書生だの、主役の、なさけ深い探偵の役なんぞ巧かった。
「ねえ、香取先生は菊地に似ているじゃァないか。」
あるとき仲間の一人がふいにこういった。
「うん、そうだ、似ている。――そういえば似ている。」
わたしはすぐそれにこたえた。――前にいうのをわすれたが、先生はまた色も白かった
五
……そのあと、わたしは、首尾よく及第して錦糸堀の中学へ入り、入ると一しょに香取先生のところへかようことを止めた。なぜなら時間が許さなかったからである。――わたしと香取先生との交渉はそれで終った。
が、終ったといえば終った、それだけだったといえばそれだけだったものの、間接の、そうした直接でない交渉はずッとなおあとまでつづいた。