Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lesen Sie 福翁自伝 (ふくおうじでん) von 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.912 Zeichen · 402 Bildschirme
人間は社会の虫なり
を故郷の母の方に送て一時の窮を凌ぎました。
人間は社会の虫なりと云うような次第で、ソレはソレは卑劣とも何とも実に云いようのない悪い事をして一寸とも愧じない。仮初にも是れはドウも有間敷事だなんと思たことがない。取らないのは損だとばかり、猟に行けば雀を撃たより雁を取た方がエライと云う位の了簡で、旨く大金を掠め取れば心窃に誇て居るとは、実に浅ましい事であるのみならず、本来私の性質がソレ程卑劣とも思わない、随分家風の悪くない家に生れて、幼少の時から心正しき母に育てられて、苟も人に交て貪ることはしないと説を立てゝ居る者が、何故に藩庁に対してばかり斯くまでに破廉恥なりしや、頓と訳けが分らぬ。シテ見ると人間と云う者はコリャ社会の虫に違いない。社会の時候が有りのまゝに続けば、その虫が虫を産んで際限のない所に、この蛆虫即ち習慣の奴隷が、不図面目を改めると云うには、社会全体に大なる変革激動がなければならぬと思われる。ソコで三百年の幕府が潰れたと云えば、是れは日本社会の大変革で、随分私の一身も始めて夢が醒めて、藩庁に対する挙動も改まらなければならぬ。是れまで自分が藩庁に向て愧ずべき事を犯したのは、畢竟藩の殿様など云う者を崇め奉って、その極度はその人を人間以上の人と思い、その財産を天然の公共物と思い、知らず識らず自から鄙劣に陥り