Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lesen Sie 福翁自伝 (ふくおうじでん) von 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.912 Zeichen · 402 Bildschirme
生麦の報道到来して使節苦しむ
こりゃどうも気の知れない国だ、言葉に意味を含んで止まれと云う所を見れば、或は陰険の手段を施す為めではないか知らんと思うた事があった。けれどもそんな事を聞たと云うことを同行の人に語ることも出来ない、語ればどんな嫌疑を蒙るまいものでもないから、その時に語らぬのは勿論、日本に帰て来ても人に云わずに黙て居ました。或は爾う云うことを云われたのは私一人でなく、同行の者も同じ事を云われて、私と同じ考えで黙て居た者があったかも知れない。兎に角に気の知れぬ国だと思われる。
生麦の報道到来して使節苦しむ夫れから露西亜を去て仏蘭西に帰り、いよ/\出発と云うその時は生麦の大騒動、即ち生麦で英人のリチヤードソンと云うものを薩摩の侍が斬たと云うことが丁度彼方に報告になった時で、サア仏蘭西のナポレオン政府が吾々日本人に対して気不味くなって来た。人民はどうか知らないが政府の待遇の冷淡不愛相になった事は甚だしい。主人の方でその通りだから、客たる吾々日本人のキマリの悪いこと如何にも云い様がない。日本の使節が港から船に乗ろうと云うその道は十町余りもあったかと思う、道の両側に兵隊をずっと并べて見送らした。