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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふくおうじでん

福翁自伝

福沢 諭吉

Lesen Sie 福翁自伝 (ふくおうじでん) von 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.912 Zeichen · 402 Bildschirme

Aozora Bunko

拝領の紋服をその日に売る

爾う云われると私も何か云いそうな事だ、所が私は決して云わない。如何にも爾うでしょう、ソリャ成程近衛様も爾うだろう、御老中も爾うだろうが、扨ソレが実地になると傍観者の思うようにはならぬもので、近くはこの奥平様の屋敷でも、マダして宜いこともあるだろう、為なくて宜いこともあるだろう、傍観者から之を見たらば嘸堪え難いことに思うでありましょうけれども、当局の御家老の身になって見れば又爾う思う通りに行かないもので、矢張り今の通りより外に仕様がない。余り人の事を批評しても詰らぬ事です。私は一体そんな事に就ては何を議論しようとも思わぬと云て、少しも相手にならなかった。

拝領の紋服をその日に売る爾う云う風に構えて、一切政治の事に就て口を出そうと思わない。思わないから奥平の邸で立身出世しようとも思わない。立身出世の野心がなければ人に依頼する必要もない。眼中人もなければ藩もなし、左ればとて藩の邪魔をしようとも思わず、唯屋敷の長屋を借りて安気に住居するばかり、誠に淡泊なもので、或時私が何かの事に就て御用があるから出て来いと云うから、上屋敷の御小納戸の処へ参た所が、之を貴様に下さると云て、奥平家の御紋の付て居る縮緬の羽織を呉れた。