Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lesen Sie 福翁自伝 (ふくおうじでん) von 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.912 Zeichen · 402 Bildschirme
始めて東京の芝居を観る
コリャ私の名誉で、至極面白い話だから私は罷めますまい。相替らずその家に出入しましょう。此処で御注意を蒙て夫れで前非を改めて罷めるなんて、ソンな弱い男ではござらぬ。但し御親切は難有い、御礼は申上げましょうが、実は私は何とも思わぬ。却て面白いから、モッと評判を立てゝ貰いたいと云て、冷かして帰た事があります。
始めて東京の芝居を観る前に申す通り、私は江戸に来て六年目に始めて上野と云う処を見て、十四年自に始めて向島を見たと云うくらいの野暮だから、勿論芝居などを見物したことはない。少年のとき旧藩中津で、藩主が城内の能舞台で田舎の役者共を呼出して芝居を催し、藩士ばかりに陪観させる例があって、その時に一度見物して、その後大阪修業中、今の市川団十郎の実父海老蔵が道頓堀の興行中、或る夜同窓生が今から道頓堀の芝居に行くから一緒に行こう、酒もあると云うから、私は酒と聞て応と答え、ソレから行く道で酒を一升買て、徳利を携えて二、三人連れで芝居に這入り、夜分二幕か三幕見たのが生来二度自の見物。ソレから江戸に来て、江戸が東京となっても、芝居見物の事は思出しもせず、又その機会もなくして居る中に、今を去ること凡そ十五、六年前、不図した事で始めて東京の芝居を見て、その時戯れに、