Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lesen Sie 福翁自伝 (ふくおうじでん) von 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.912 Zeichen · 402 Bildschirme
家に秘密事なし
全く自由自在のようなれども、左ればとて食物を勝手に任せて何品でも喰い次第にすると云う訳けではない。又子供の身体の活溌を祈れば室内の装飾などは迚も手に及ばぬ事と覚悟して、障子唐紙を破り諸道具に疵付けても先ず見逃がしにして、大抵な乱暴には大きな声をして叱ることはない。酷く剛情を張るような事があれば、父母の顔色を六かしくして睨む位が頂上で、如何なる場合にも手を下して打たことは一度もない。又親が実子に向ても嫁に接しても、又兄姉が弟妹に対しても名を呼棄にせず、家の中に厳父慈母の区別なく、厳と云えば父母共に厳なり、慈と云えば父母共に慈なり、一家の中は丸で朋友のようで、今でも小さい孫などは、阿母さんはどうかすると怖いけれども、お祖父さんが一番怖くないと云て居る。世間並にすると少し甘いように見えるが、ソレでも私方の孫子に限て別段に我儘でもなし、長少戯れながら長者の真面目に言う事は能く聞て逆う者もないから、余り厳重にせぬ方が利益かと思われる。
家に秘密事なし又家の中に秘密事なしと云うのが私方の家風で夫婦親子の間に隠す事はない、ドンな事でも云われないことはない。子供が段々成長して、是れは彼の子に話して此の子には内証なんて、ソンな事は絶えてない。