Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lesen Sie 福翁自伝 (ふくおうじでん) von 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.912 Zeichen · 402 Bildschirme
病に媚びず
之を遣るから大事に貯えて置け。僕の留守中に思当ることがあろうと云うのは実に朋友の親切なれども、私は却て喜ばぬ。「馬鹿なことを云て呉れるな。病気全快の僕の身に薬なんぞ要るものか。面白くもない。僕は貰わないと云うと、長与が笑て、「知らぬ事を云うな。屹と役に立つことがあるから黙て取て置けと云て、その薬を私に渡して別れた所が、果して然り、長与の外行留主中、毎度発熱して、夫れキニーネ又キニーネとて、トウ/\一オンスの品を飲み尽したと云うような容体で、何分にも力が回復しない。
病に媚びず横浜の女医ドクトル・シモンズの説に、何でも肌に着くものはフラネルにせよと云うから、シャツも股引もフラネルで拵え、足袋の裏にもフラネルを着けさせて全身を纏うて居た所が、頓と効能が見えぬ。ドウかすると風を引て悪寒を催して熱が昇る。毎度の事で、凡そ二年余り三年になっても同様であるから、或日私が大に奮発して、是れは医師の命令に従い、余り病気を大切にして、云わば病に媚るようなものだ。此方から媚るから病は段々付揚る。自分の身体には自分の覚えがある。真実の病中には固より医命に服することなれども、今日は病後の摂生より外に要はないから、自分で摂生を試みましょう。